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トリノショウなどでデザインスタディとして登場した。
このクルマは常識ではアグリーであるがそれがこのクルマの不思議な魅力につながっている。
強烈なインパクト、飽きのこないデザインを求めて、イタリアは行動しはじめた今年のトリノショウには、いつかの実験的なデザインが出現した。
たとえばクーペ・フィアットをはじめ、ブント・ベースの数々のデザインスタディ、アルファ・ロメオ145など、注目すべき意欲作が多数登場した。
メルセデスAクラスやBMWの実験などが、それにさらに拍車をかけた。
クルマのスタイルが変わりはじめたのである。
いまのところ、この新しい方向はまだポチポチという段階で世界の潮流となるにはいたっていない。
絵画の世界で印象派の終わりにキユビズムやフォービズムがあらわれ、やがてそれが現代美術の主流を形成していったように、自動車デザインの世界にも大きなうねりがあらわれはじめたと私は思っている。
この流れにドイツはハードの開発で応えようとしている。
日本の自動車会社はなによりクルマを売ることが重要であり、自動車を変えたいとは思っていないのだ。
環境や安全という大きな社会的要求は必ずクルマのスタイルを変えるだろう。
従来、自動車のデザインはピニンファリーナのような一人の天才によっておこなわれてきた。
いまはその個性をプロデュースし、ディレクトするスタッフたちに変革への意志があれば、変化は生まれるだろう。
円高である。
1ドル=96円。
この原稿を書いているときのレートだ。
この円高で、日本の自動車工業は大きな転機を迎えた。
対米輸出は依然として重要であるにしても、これひとつに頼っていていいのだろうかという大問題が浮上したのである。
そこで、アメリカ、ヨーロッパ以外のマーケットに注目する動きがある。
都合のいいことに、アジア諸国がクルマを買うだけの経済力をつけてきたし、中国のように大量生産をおこないたい国もあらわれてきた。
そこで日本はアジアで作り、アジアで売ればいいというのだ。
*f易立国″ 貿易こそ国の生きる道と、小学校で教えられてきたわれわれはたしてこのアジアで売ろうという考え方も、アメリカ、ヨーロッパへ輸出をすることでここまできた。
円高で相当難しなった。
人件費の値上がりをカバーするだけのクォリティ、魅力を日本の自動車屋さんが思いつかないうちに、どんどん日本車が値上がりしてしまった。
今度はアジアでいこうというのである。
いつもそう自動車先進国はマーケットを植民地のように思っていて、そこでやりたい放題のビジネスをする。
いま日本の自動車工業に望まれているのは、単にクルマを売りでのシェア獲得に夢中になることだけではあるまい。
ドイツのVWは中国に古いプラントを持っていったが、古いもので商売しようと思っているからではない。
自動車作りに不慣れな外国のスタッフとい緒にクルマを作って学んでいこうという考え方からだ。
近代的な工場をドンと建てて、安い労働コストでパンパンクルマを作る。
これが日本のやり方単に経済効率だけ考えれば、正解かもしれない。
自動車は環境問題やエネルギー問題を抱えている。
ヨーロッパ人は自分たちで、少しずつ進歩している。
ともかいいマーケットを探す、あるいは自分中心で作るという考え方は、もう世界中で認められない時代なのだ。
り返していえば、輸出はT国の生命線という考え方は、もう世界の理解を得られないものだ。
日本だけ利益を上げ、一人当たりの収入を増やすために外国からあらゆるものを持っていることも、その外国の空気を汚すことも許されない。
トヨタと日産を論じることは、日本の自動車工業を論じることである。
それほどこの2大メーカーは大きな影響力を持つ。
ここへきてこのふたつのメーカーのあいだには大きな差がついてきた。
少なとも経済的な部分ではトヨタは勝者であり、日産は敗者だ。
トヨタはますます拡大主義を推進しているが日本を離れた世界的レベルでのことだ。
トヨタは現在より30%ほど安いクルマを開発し、世界中で売る予定だという。
トヨタはあいかわらず数の正義を信じており、生産・販売・利益のすべてに数字を優先させている。
いまやトヨタの利益は巨大で、この資金力をもって国内ではいろいろなことができる。
それもこれもコストを安いし、価格を下げれば、結果として大きな利益を得られるという考えからだ。
日産は遅ればせながらクルマの部品共用化に積極的になった。
サニー、セフィーロなどがその具体例そこはさすが日産で、エンジン、シャシーの基本的部分で考えられたコンポーネンツを作っている。
このへんはホンダや三菱やマツダとは相当違う。
もはやトヨタと日産は相当な差がつきへ お互いを意識する必要がないと思われるほど両社の状況は変わってきている。
トヨタの拡大主義は、はたして将来にわたって正しいことでありつづけられるだろうか。
現在のパラダイムで自動車を多く作り、多売るということはどういうことなのか、トヨタもそろそろ考えるべきときがきたと思う。
さらに将来を考えれば大きな会社組織を作り、多の従業員を集めて、それがいったい何になるかということも大きな問題であろう。
多の人がそろって金儲けすることがはたして正しいことでありつづけるだろうか。
日産という企業の目的は何かを考えることではないだろうか。
日産の存在理由を明らかにし、その目的をハッキリさせることは、数の論理で押しているトヨタとの競争に勝つことにつながると思う。
シェアが〇〇%であるとかへ 販売チャンネルをどうこうするということは、もはや両社にとってはあまり重要ではないことなのだ。
いま、それよりこの両社が競争すべきは、次の時代のクリーンで安全で、使いやすいトランスポーテーションを開発することだ。
もっと多の人間を幸せにするだろう。
日本でもいよいよクルマの衝突安全を強制することになった。
11NO″という新しい規格がそれである。
軽自動車はどうするのかということである。
従来、軽自動車は衝突安全を問われなかった(だからアメリカにも輸出されなかった)。
軽自動車は、年間170万台も売れている。
その軽自動車が特別扱いとなると、軽自動車に乗っている人は万が1のとき死んでもいいのかという理屈になる。
現在の混合交通下では安全はただいつのスタンダードを持つべきだという結論に達したのは理の当然である。
現在の技術では、衝突安全はボディの大きいほうが有利である。
いわゆるボディの<uツカリしろ″が大きいほど、安全なのである。
しかも、新しい規格には、横方向からの衝突もある。
これに対応するためには軽自動車のサイズを少し拡げる必要があるという議論になった。
こうなると、日産はクレームをつける。
どうして軽自動車は税制その他で優遇されているのだろうかという根本問題に立ちいたることとなる。
もともと軽自動車は国民所得が低い時代に、国民にクルマを持たせようという理由から生まれたものだ。
その後、国民の努力によって日本の所得は大幅に上がり、いまでは多の人がクルマを買うことができるようになった。
それでも軽自動車の精神は重要なのかという議論である。
私はこの税制にのっとった軽自動車の優遇はもうやめてもいいと思う。
それによって軽自動車メーカーが困ることは考えられる。
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